シート発注Web / ケース受注Web

レンゴー株式会社

2024 -

ユーザーと管理者、両者に考慮した設計

段ボール国内シェアナンバーワンのレンゴーは、DX推進の目標として既存プロセスの変革や新規ビジネスモデルの創出を掲げています。長年使用してきた既存システムの課題解決もその一つです。

「取引先Webシステム」は、レンゴーの取引先が発注を管理するシステムの一つである「シート発注Web」と、受注を管理するシステムの一つ「ケース受注Web」の総称です。
2022年、これをリニューアルするプロジェクトが始動。フェンリルは、業務系システム開発とUX/UIの知見を生かし、開発に加えてデザインまで一貫して対応しました。

リニューアル後は操作しやすくなったと評価されています。
さらにブルーグリーンデプロイメントにより、日中の緊急リリース時、ユーザに影響を及ぼさずにリリースができるようになり、管理者の負担軽減まで考慮したシステムとして役立てられています。

相談されたこと

  • 既存システムのミドルウェアが古くなり、セキュリティを強化したい
  • 発注パターンのテンプレート登録をはじめとする機能を改修したい
  • 既存プロセスの変革や新規ビジネスモデルを創出したい

プロジェクトの内容

  • システムアーキテクチャを最新化し、セキュリティを強化
  • 直感的に使えるウェブシステムを実現し、ユーザーの学習コスト低下を実現
  • レンゴーの基幹システムの一つ、 紙器工場の基幹システムとの連携

機能を絞り込み、ユーザーの使いやすさを第一に考えた設計に

設計、開発、品質保証にとどまらず、デザインまで一貫して手掛けられたのは、技術とデザイン両面で強みを持つフェンリルならではです。
レンゴーの担当者とFigmaを参照しながらリアルタイムで議論を積み重ね、その成果をFigma上でムードボードにまとめてデザインコンセプトを決定。さらに、リリースを控えているサブシステムにも直感的に使えるデザインを適用しました。

システム構成改善による信頼性の確保

外部システムとの連携では、APIインタフェースを明確化して双方のシステム間でデータの整合性を確保しました。これにより、データの一貫性と信頼性を獲得。ユーザーは一元化されたデータを利用できます。システム間の垣根を越えた、スムーズな情報連携を実現しました。

帳票出力に関しては、システムの負荷を分散させるために、Amazon ECSで受け付けて、実際の出力をAWS Step FunctionsとAWS Lambdaで処理することにしました。帳票出力プロセスは、Step Functionsを用いてステートマシンで設計。各ステップを可視化して管理しやすくしました。帳票を作成する部分は、Lambdaに切り出すことによって、パフォーマンス調整が部分的に実施可能です。
サーバーレスアーキテクチャを採用し、高い可用性と信頼性を確保しています。

また、開発を進める中で、システム構成の課題と改善点をお客さまに共有。
クラウドにより適した設計に変更しました。

インフラはAWSコンテナアーキテクチャーを使用してモダンな構成を実現

フェンリルはAWSの専門家として、ベストプラクティスであるWell-Architectedフレームワークを用いてAWSクラウド上の構成を検討しました。

6つの観点(優れた運用効率、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コストの最適化、持続可能性)から最適解として導いたのは、コンテナアーキテクチャをメインとした構成です。一部にサーバーレスアーキテクチャを併用することで、開発負荷とシステム運用者の負担を低減。運用を想定した構成を実現しました。

フェンリルのクラウドサービス「GIMLE」を活用

また、この開発に当たってフェンリルのクラウドサービス「GIMLE」を活用しました。ポイントは下記の2つです。

まず、柔軟性と拡張性の確保を目的にクラウド戦略を策定。GIMLEを用いてAWSを前提にシステム構成図を作成した上で、需要変動に柔軟に対応できるシステムを設計しました。

次に、信頼性の高いシステム設計を目指して、アーキテクチャをデザインしました。
GIMLEのアーキテクチャデザイン支援を適用し、スケーラビリティとパフォーマンス、単一責任の原則を重視した設計になりました。

今後の展開

システムの本番導入前にはデモ期間を設け、稼働に影響する問題を検出して事前に対応しました。ユーザーが実データを入力し、デモ期間中のアプリ更新はユーザーに影響を及ぼさずに実施できます。その仕組みがあるため、ユーザーやエンジニアに過度な負荷をかけることなく、綿密な事前調査が実施できました。その成果もあり、リリース後の安定稼働を実現。安心と信頼の品質が高く評価されています。

今回のリニューアルでは、単なる開発だけでなくサービスデザインやデザインシステムを提案しました。それにより、レンゴーからはペルソナやムードボードの作成など今までやったことのないアプローチで考えることができたとの声をいただきました。
今後もDX推進のパートナーとして、より使いやすいシステムにアップデートしていきます。

制作スタッフ

プロダクト

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