FOPカメラモ

古野電気株式会社

2021 -

カメラ画像で本船状況を把握するサービス

魚群探知機や船舶レーダーなどを取り扱う船舶用電子機器総合メーカー古野電気株式会社。
同社は、舶用機器関連のデータビジネスを展開し、エンドユーザー起点のビジネスアイデアを素早く具現化していきたいというビジョンを持っていました。そうしたビジョンを効率よく実現するため、既にAWSの導入はされていましたが、数あるサービスをどのように構成すべきか模索していました。加えて、複数システム間の連携方法・データ処理効率・セキュリティ・将来的な運用に不安がある、といった課題を抱えていました。

今回開発した「カメラモ」は、本船から取得したカメラ画像を陸上から把握できるモニタリングサービスです。本船の機器データとカメラ画像を組み合わせた独自のAI技術により、船上で発生するイベントを自動で検知します。古野電気が提供する、船陸一体となって船舶運航を支援するクラウドサービス「FOP(フルノオープンプラットフォーム)」にオプションで追加できます。

このサービスの特長は、クラウドに記録した映像を振り返って確認できることです。これまで通信事情から実現が難しかった航行状況をリモートでモニタリングできるシステムを実現しました。

フェンリルは「カメラモ」のウェブアプリ開発を支援。要件定義からデザイン・設計・開発・構築・保守と、幅広く担当しました。単なる受託開発ではなく、古野電気と共同で開発をしたことにより、古野電気のチーム自身で継続的にコンポーネントを改善できるようになりました。

相談されたこと

  • データを活用したビジネス拡大のため、新しいサービスを素早く改善・検証したい
  • クラウドやウェブアプリの知見が不足している
  • システムのコアとなる機能を自ら開発できるようになりたい

プロジェクトの内容

  • 要件を定義し、「カメラモ」ウェブアプリを開発
  • フレームワークやクラウドサービスの効率的な活用方法を共有
  • フェンリルのモダンな開発・運用手法を参考に、顧客チームが自ら開発プロセスを改善・機能改修できるように支援

イベント検知機能で、ユーザーの使いやすさを実現

「カメラモ」のイベント検知機能は、古野電気で開発されたイベント(入出港・荒天航海・荷役作業 )検出モジュールを組み込み、航行データ・画像データを処理します。入出港や航海中作業等に発生したイベントを自動検出して情報を付与します。

古野電気独自のAI技術により、本船で発生するイベントを自動で検知することが可能になっただけでなく、イベントを検出した箇所を明示して見るべきポイントが明確な設計にしました。

フェンリルのクラウド活用支援サービス「GIMLE」を提供

この開発を通じて、充実した機能とユーザーが分かりやすいインターフェースを兼ね備えたシステムを実現。さらに、古野電気自身で継続的な機能改修を実行できるよう内製化を支援しました。
支援にあたっては、顧客のビジネスを推進するフェンリルのクラウド活用支援サービス「GIMLE」を提供。このうち、アセスメントフェーズで提供するサービス「GIMLE The 3DAYS」を実施することで、ビジネス展望と課題を明確化しました。

また、支援の効果を体感してもらいやすくするため、フェンリルが過去にシステム開発で使用した技法や構成を題材にしました。古野電気のシステムで動いているコードや構成を参考にするところから始めたことも、新技術習得のハードルを下げる工夫の一つです。

古野電気はAWSでのシステム開発に関する知見を獲得しただけでなく、自らシステムを運用しサービスを改善できるようになったことで、顧客対応能力も向上しました。

情報を共有し、顧客の内製化を支援

古野電気としてサービス提供型のビジネスを実施する、というビジョン実現のため「カメラモ」ウェブアプリ開発に際して、古野電気にフェンリル独自の「内製化支援ソリューション」を提供。以下3つのフェーズで古野電気の開発チームによるシステムの機能開発をサポートしました。

フェーズ1では、集中型ワークショップによるアセスメントを実施し、古野電気として将来目指す姿の確認と、目標に至るまでの課題を洗い出しました。フェーズ2では、短期間で「カメラモ」のMVP版を開発。古野電気の開発チームに対してAWSを効果的に活用したシステムの設計方法やDevOps技法を共有してIT内製化を推進しました。最後のフェーズ3で、共有した知見を生かしてイベント検出処理コンポーネントを古野電気が開発。フェンリルはCI/CDの仕組みと共に機能をシステムに組み込みました。

また、システムの改善を続ける前提での開発のため、DevOpsの考え方やプラクティスを導入し、運用負荷を抑えながら品質の高いウェブサービスを提供するためにAmazon ECS と AWS Fargate を採用。
AWS CloudFormationでインフラ構成管理をし、AWS Codeシリーズを活用したCI/CDフローの構築により、アジリティと高い品質の両立を実現しました。

古野電気の開発チームは、フェンリルが実現したクラウドベースの開発手法を参考に、AWSを活用したイベント検出処理機能の開発と、継続的な改善ができるようになりました。主体的なシステム改善により、高いレベルでのオペレーショナルエクセレンスを達成し、現在は月平均2回程度、安定してリリースされています。

カメラモのシステム構成

今後の展開

このプロジェクトを通じて、お客さまから「AWSに関する技術力や、ユーザー操作を第一に考えたシステム挙動の提案力に優れていて、クラウド開発力向上に向けた内製化支援のコンサルティングが効果的だった」「深いレベルで相談でき、有効な提案をしていただけるのは非常に価値がある」「不明点があれば時間を取ってレクチャーいただくなど手厚くフォローしていただけた」といった声をいただいています。
今後も、クラウドサービスを活用した内製化を支援するソリューションを提供し、お客様のビジネスをサポートしていきます。これまでのユーザーにとどまらず、幅広い層に向けたサービスを展開していきたいと考えています。

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