フェンリルが創るアートを楽しむ文化
2023.8.18
フェンリルは「デザインと技術から生まれる創造性が、変わらない本質を追求する。」をミッションに掲げて多種多様なプロダクトを生み出してきました。創業時からデザイン性だけでなく、機能だけでもない。その両方を追求しています。
今回は、オフィスで身近にアートに触れて創造性を高める風土形成についてお伝えします。デザインの観点から社内ブランディングに取り組む活動の一環としてお伝えします。
フェンリル×アート
フェンリルはこれまでWebブラウザやアプリ開発を通じてさまざまなプロダクトをお届けしてきました。どのプロダクトも洗練されたデザインやユーザーが使いやすい機能を追求し、使い続けていただけるプロダクトを開発しています。
オフィスにはアートを身近に感じ、良いデザインとの出会いの場があちこちに広がっています。例えば、会社のロゴである狼をモチーフにしたオリジナルの絵画やデザイン・アートの書籍、美しいプロダクトなどが数多く展示されています。まるでわたしたちがアートに溶け込んでいくような空間をつくることで、インスピレーションが湧きやすく創造性と美学を磨くことができます。
このようにフェンリルとアートは切り離すことができないものであり、創業時から大切にしてきた文化です。
狼をモチーフにしたオリジナルアートがオフィスを彩ります。(大阪本社)
創業のきっかけとなったSleipnirをモチーフにした壁画(京都オフィス)
この文化をさらに発展させて、社員同士がアートを通じて交流するきっかけをつくりたい。キャリアや職業の垣根を超えて社内に浸透させるにはどうしたら良いのか。そんな課題に立ち向かうために、社内のデザイナー、広報、エンジニアなどさまざまな専門スキルを持ったメンバーが結集して「Fenrir Art」というプロジェクトを立ち上げました。社内の情報共有ツールで活動内容を投稿し、興味を示してくれる社員を巻き込みながら活動の輪を広げています。
さまざまな専門スキルを持つメンバーが集結してスクラムを組むプロジェクト
出所:『ブランディング・ファースト-広告費をかける前に「ブランド」をつくる-』宮村岳志(2020)よりナレッジ編集部が作成
本棚から生まれるインスピレーション
大阪・東京・名古屋にあるオフィスにはグリッドでデザインされた共通の大きな本棚があります。インテリアとして象徴的な空間である本棚をギャラリーに見立て、アートを表現するステージとしてさまざまな作品を展示しています。Fenrir Artの目的は、仲間同士がその場所にしかない作品と出会い、感じたことを交わすことで互いの感性を刺激し、新たなクリエイティブに生かすことです。
本棚の展示会は、過去2回大阪と東京の2拠点でそれぞれ同時開催しました。
第1回は、インディペンデント雑誌とZINEを特集しました。才気あふれる感性を形にする手段や、印刷方法、表現など、1冊の雑誌から放たれるクリエイティブのエネルギーは計り知れません。見る人が持っている感覚と新たな刺激が融合することで創造力が開花する。手にとって体験するからこそわかる魅力を伝えることができた企画でした。
第1回インディペンデント雑誌とZINEを特集した展示
第2回は、「遊び×デザイン」をコンセプトに、遊びながらアートを楽しめる空間を演出しました。プロダクトの手触りや音と見る人の遊び心が融合し、新たなインスピレーションが生まれる。ゆったりした気持ちを持つことで新たな気づきを得てほしい、という思いで作品を選びました。本棚の前で仲間たちが作品を手に取ったり、共通のものを見ながら談笑する風景がみられました。
各拠点の展示品は期間を区切って入れ替えることでオフィスの風景を変え、新鮮な空間づくりを心がけました。これは新たな刺激や違和感を生み出すためでもあります。
オフィスや自分自身に一つの展示会が馴染んでいくと、初めて体験したときとは違う部分を感じたり、気づいたりすることができます。深く体験してもらうことと、新しい刺激を届けること、そして社員同士で気づきを話すこと。これらを定期的に繰り返すことで、創造性と美学をさらに磨くことに繋がると考えています。
Fenrir Artは、社内限定のアートプロジェクトですが、メンバーのデザイナーが告知ポスターをデザインして社内に掲示したり、広報が社内の情報共有ツールによる発信、オフィスに設置しているサイネージで配信するなど、定期的に活動内容を目にする機会を増やしています。
第2回遊び×デザインをコンセプトにした展示。
テーマに合わせて社内外のアート作品を目利きし、展示しています。
能動的にアートを楽しむ
Fenrir Artを始めてから、仕事の気分転換やランチタイムに社内で立ち寄る場所ができ、オフィス風景の変化を楽しんでいる、という声を耳にします。
プロジェクトの立ち上げ当初は、企画や告知方法、他部署との連携など、何もかもが手探りでした。どのようにプロジェクトを推進していくか。企画を具現化していくために何をすべきなのか。各部署との連携を強固にしながら実装することは簡単なものではありませんでした。
先述した通り、Fenrir Artの運営チームはさまざまな部署のメンバーが結集しています。それぞれが得意なスキルを持ち寄り、メンバー同士でディスカッションをしながらアートの表現方法を考えていきました。スケジュール管理や展示内容、企画書作成もメンバーで分担して運営しています。
メンバーそれぞれの得意なスキルを生かすことで、能動的な組織体制となり、アイデアの質が高まります。また、各回を振り返り、良い点や改善点を認識することでメンバーが成長する機会も大切にしています。
社内文化をメンバーの心に定着し、認識してもらうには時間をかけて継続する必要があります。プロジェクトの当初から、メンバー以外の興味がありそうな人へ積極的に声を掛け、運営の課題を雑談しながら共有することで、アートで感性を磨く風土を自分ごととして捉えてもらう環境を拡張しています。また、社内のポータルサイトでは週に1回社員の日常や刺激を受けたことを作品にして公開し、仲間の新たな一面に触れてもらうことも実現しています。
このように、フェンリルでは「デザインと技術」を具現化するための風土形成を能動的にデザインする仕組みを大切にしています。ミッションに掲げている「変わらない本質を追求する」ためには一人一人がデザインや技術を磨くために感性を豊かにする必要があります。会社全体でインスピレーションを共有し、拡張していくことで創造性が喚起され、より良いプロダクトを生み出せるよう、これからもさまざまな活動を進めてまいります。
本記事の執筆者|林 亜衣子
デザイン開発部ディレクター
デザイン事務所、インハウスデザイナー、フリーランスデザイナーを経験。グラフィックデザインを主軸に、地域メディア、イベント等の企画からディレクション/デザインとさまざまなプロジェクトを担当。2022年、フェンリル株式会社に入社。