売上UPにつながるKPI設定とアクセス解析のいろは

お客様の課題に合わせてさまざまなセミナーで情報を発信してきたフェンリル。今回は関心が高かったセミナーのひとつを『ナレッジ』でお届けします。

Webサイト運営の担当者より「サイトから売上につなげるためにどんな指標を見ればよいのかわからない」「そもそも何から着手すればよいのか」といったお悩みを耳にすることがあります。なぜアクセス解析が必要なのか、目標設定をどのように進めていくのか。ウェブ解析士マスターがKPI設計の有用性と活用事例についてお伝えします。

アクセス解析はWebサイトの「現在地」と「目的地」を把握すること

アクセス解析はWebサイトやコンテンツ制作において、売上やダウンロード件数を上昇させるために有用な手段です。
頂上を目指し山の中を歩いている様子を想像してみてください。このとき、例え素晴らしい地図を持っていても現在地がどこか分からなければ遭難してしまいます。これは、ビジネスシーンでも同様です。
目的に対して自分の位置を正確に把握できていないことはよくあります。現在地が分からないまま、せっかく作ったWebサイトやコンテンツをやみくもに運用してしまうと、次の施策を適切に立てることができないばかりか、売上の機会を失いかねません。
アクセス解析は、目的を果たしてゴールにたどり着くために必要な取り組みのひとつです。ユーザーの情報や利用状況を可視化することで、Webサイトの改善につながります。

Web解析ツールとして広く認知されているものに「Google Analytics(以下、UAと記載)」があります。しかし、同ツールのサービスは2023年7月に終了するため、ユーザーはGoogle Analytics4(以下、GA4と記載)への切り替えを進めているのではないでしょうか。

UAからGA4へは自動的に移行されず、測定指標の定義が一部変更となるため、過去のデータと比較ができない数値もあります。つまり、何も対策をしていなければ、居場所が分からなくなり、「遭難状態」に陥ってしまいます。UAを活用してきた方はもちろん、Web解析を進めたい、という方はこれを機にツールを見直してはいかがでしょうか。

KPIツリーで目標を達成するためのプロセスを数値化

では、どのように目的を設定するか。具体的に解説します。

KPIツリーの作成

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)設定とは、目的地に向かうために「解像度の高い地図を用意すること」です。そのため、まずKGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)を設定して目的地を明確にします。次にKSF(Key Success Factor:重要成功要因)を明らかにし、目的地までの行き方や手段を設計します。

例えば、KGIを「売上目標の達成」としたい場合、KSFにはどのように売上目標を達成するか測る要素を設定します。ここでは、「課金ユーザー数の向上」や「LTVの向上」とします。さらに、KSFで「どのように集客するのか」「どのようにコンテンツの質を高めるのか」などと細分化して検討していく必要があります。

目標が設定できたら、構成要素をどのように測定するかを考えます。「売上」は「課金ユーザー数」×「LTV」とし、「課金ユーザー数」は「ユーザー数」×「コンテンツのコンバージョン率(CVR)」とするなど、指標を計測できるよう、定義をしながら分解します。


KPIツリーのイメージ図
『ビジネスフレームワーク図鑑』小野義直・宮田匠(2018)を参考にナレッジ編集部が作成

例えば、クライアントとKPIツリーを作成する際に「Webサイトに来るユーザーを増やすことをKGIにしたい」と要望されることがあります。サイトを作っただけでは自然にユーザーが増えることはなく、Webサイトはサービスとユーザーとのタッチポイントを増やす手段のひとつにすぎません。サイトに立ち寄ったユーザーが次に取る行動を「買い物すること」と考えれば、買い物のコンテンツを充実させるという施策を立てられます。
このように、ユーザーの行動を理解して、どのような行動を取ってもらいたいかを検討しながらKPI設計を進めることが大切です。

KPIツリーで事業の急成長を生むことも

適切なKPIツリーを作成することができれば、事業の急成長が期待できます。

例として、単身用引っ越し事業の運送会社であるA社について考えてみます。A社では自社サービスサイトに対しSEO対策を講じ、「関西」「単身引っ越し」で検索した際、上位に表示されるようになりました。
やみくもにサイトを運用していた場合、ここでターゲットとする地域を拡大したり、単身以外にも対応するサービスへの拡張を考えてしまいそうです。

しかし、A社ではKPIを「検索結果ページのシェア率(画面占有率)を増やす」と設定し、更に単身引っ越し事業に特化したコンテンツを充実させ、サイト内の見出しを改修しました。これにより、他社の比較サイトや引っ越し関連サイトにA社のコンテンツが掲載される機会が増え、問い合わせが増加しました。


出所:『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎(2018)を参考にナレッジ編集部が作成

このように、「何を」「どのように」して成果をあげるのか。感覚ではなく目に見える形でKPIを丁寧に設計することで、関連する要素や重要度を正しく認識することができ、売上の獲得を見込めます。

アクセス解析で改善のサイクルをサポート

KPIツリーは作成すれば安心というものではありません。解析データを可視化すると、Webサイトの回遊性が悪く離脱率が高いことなど、現場のサービスに課題が見つかることがあります。目標を設定した後に、どのようなアクションを取るのかを検討し続けることが重要です。フェンリルではOODAループを用いて改善施策を検討しています。OODAを活用した事例についてはこちらをご覧ください。


サービスを成長させるために、改善施策を考えながら実行していくOODAループ

今回は、デジタル戦略について解説しました。
フェンリルはビジネスに合わせてデジタル戦略の企画、制作、運用までお客様の課題に合わせた提案をしています。

・企画が思い浮かばない
・企画を具現化できない
・データ解析が難しい
・改善のための最適な手段が分からない
・コンテンツの力が足りない
・ユーザーの心が動くデザインになっていない

社内にはアプリやサービスの開発前から課題を整理するリサーチャーや、データを活用して推進するマーケターなど、さまざまな職種のメンバーが在籍しています。ご相談内容に合わせた提案を行なっていますので、気軽にお問い合わせください。

本記事の執筆者|大柄 優太
フェンリル株式会社 デザインセンター SD部/マーケター
コンサルタント/マーケターとして、アクセス解析や広告運用などのデジタルマーケティング業務に従事。2022年にフェンリルに入社。ウェブ解析士マスターの資格を保持しており、アクセス解析をもとにした改善施策の提案を得意とする。

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