日系企業にも導入してほしい企業版WeChat

中国では、チャットをはじめとするコミュニケーションツールをビジネスで活用する企業が増えています。中国で自社のビジネスを飛躍させるには、そういったコミュニケーションツールを見直し、業務の効率化とマーケティングに役立てると効果的です。
ツールの導入にはどのような環境整備が必要なのか。中国事業部の責任者が解説します。

業務の効率化だけがDXではない

中国政府は「国家情報化発展戦略」として、2006年から2020年にかけてデジタル化を推進してきました。また、新型コロナウイルスの影響もあり、ITインフラの整備が進み、手軽にコミュニケーションが取れるチャットが、ビジネスでも活用されるようになりました。

海外に進出した日系企業がDXを推進するとどのような効果があるのか。JETRO(日本貿易振興機構)の調査によると、「業務の効率化」や「業務プロセスの可視化」に加え、「コミュニケーションの活性化」につながることが明らかになりました。

チャットを導入して顧客とのエンゲージメントを高め、円滑なコミュニケーションを図ることは、中国ビジネスでも有用です。


日系企業における海外事業のDX推進状況
出所:JETRO『海外ビジネス調査日本企業の海外事業展開に関するアンケート』をもとに弊社編集部が作成

拡張する「コミュニケーションツール」の役割

Wechatと企業版Wechatの違い

中国ではコミュニケーションツールとして「Wechat(以下、微信)」が市場を占有しており、インターネットユーザーの96%以上、約12億人が活用していると言われています(※1)。また、微信は個人間のコミュニケーションだけでなく、買い物や食事、通院履歴の管理など、日常生活になくてはならないサービスを包含しています。

しかし、ビジネスで微信を利用する場合、運用上の課題が存在していました。例えば、ビジネスでも個人アカウントを使うユーザーが多く、そうなると会社がアカウントを管理することができません。従業員の退職や異動に伴う引き継ぎが十分にできないリスクや、個人チャットからトラブルが発生した場合、会社の適切な対応が難しいことから、何らかの対応が求められていたのです。

そこで、ビジネス用のコミュニケーションツールとして誕生したのが企業版WeChat(以下、企業微信)です。同ツール導入社数は1,000万社を超え、月間のアクティブユーザーは約1.8億人。微信と連携しているアカウント数は5億にも及び、中国ビジネスのコミュニケーションツールとしては欠かせないものになっています。

ビジネスでは、顧客のデータや商談内容は会社の無形資産であり、従業員個人のものではありません。また、個人間のコミュニケーションからトラブルが発生した場合、会社は適切な対応ができません。従業員が使う企業微信のアカウントを会社が管理し、コンプライアンス遵守と情報セキュリティの対策を徹底することで、トラブルを避けることができます。

企業微信のサービスの特徴

企業微信の特長は、微信と互換性のある機能を備えていることに加え、企業微信のプラットフォームで稼働するサードパーティのアプリを使って、事業ニーズに合わせた機能を追加することができます。

例えば、勤怠管理、スケジューラー、社内掲示板、各種承認申請といった社内の業務管理から、顧客情報管理、デジタルマーケティングやプロモーションまで幅広く活用できます。セキュリティも担保されているので、機密資料の管理にも適しています。


企業微信の主な特長
企業微信公式サイト(※2)より弊社編集部が作成

デジタルマーケティング機能が充実

2022年に企業微信4.0がリリースされ、プロモーションやデジタルマーケティングの機能が強化されました。中国では、ほぼ全てのプロモーションにSNSを利用していることから、デジタルマーケティングと企業微信の親和性は高いといえます。

例えばB to Cの場合、SNSで企業をフォローしている一般の顧客に対して、ターゲットに合わせた情報配信や、リードの獲得など、顧客と直接コミュニケーションを取ることができます。企業と顧客の接点を作ることで、ブランドに対するロイヤルティ向上やファンとのコミュニティ形成につながります。

B to Bの場合は、企業に対し、セミナー情報や営業プロモーションを配信できるので、新たな事業展開をアシストする重要なPRツールとなります。さらに、サードパーティのアプリを導入することで、エンゲージメントの計測や、フォローメッセージの配信もできるので、見込み顧客に効率的にアプローチできます。

フェンリルが提供する支援

フェンリルでは企業微信の導入を支援しており、ニーズに合わせた業務の効率化を実現します。また、数多くのアプリの開発実績を基に、顧客の事業に合わせて効果的なサードパーティアプリを開発することも可能です。


微信/企業微信を活用したビジネスアシストの実績
お客様のビジネスに合わせて、最適な業務の効率化プランをご提案しています。

詳細は、フェンリルのこちらをご覧ください。

海外で事業を進める場合、事業環境の整備に当たっても現地の法令を遵守しなければなりません。フェンリルは中国と日本の2拠点で事業を展開し、日系企業の中国進出をサポートしています。セキュリティ対策を含む「リスクマネジメント」については、こちらの記事をご覧ください。

今回は、中国ビジネスにおける「コミュニケーションツールの有効な使い方」についてご紹介しました。お客様が描いた事業戦略の実行を支援するだけでなく、その後のフォローまで視野に入れ、ワンストップでビジネスを支援いたします。中国ビジネスに関する相談(無料)をご希望の方は、気軽にお問い合わせください。

本記事の執筆者|吉澤 克巳
飛狼数碼(上海)有限公司 董事長総経理/事業開発センター 中国事業部 部長
東京工業大学大学院修了。北京中央民族大学へ留学後、日系大手メーカーや証券会社において、中国市場でのECビジネスの運営や現地法人の立ち上げに従事。2019年よりフェンリル株式会社へ入社、中国事業の責任者に就任。2021年4月より現職。




※1.企業微信2022年新製品発表会公式サイト(2023年1月27日) https://work.weixin.qq.com/nl/index/v4Intro
※2.企業微信公式サイト(2022年12月22日) https://work.weixin.qq.com/

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