コロナ禍でデジタル化が加速し、リモートワークやカスタマーサービスといった既存の業務に関するオペレーションはもちろん、新規事業の創出においてもデジタルの活用は欠かせないものになりました。
特にモバイルアプリは、B to C(一般消費者向け)、B to B(企業間取引)、B to E(企業の従業員向け)といったさまざまなビジネスで需要が高まり、企業は対応を求められるようになりました。
しかし、企業の内部にアプリ開発の知見や経験の豊富なメンバーがいないケースも多く見受けられます。そこで今回は、アプリ開発に必要な知識と、注意すべきポイントをコンパクトにまとめてお伝えします。
アプリ需要の変化
スマホが普及し始めた頃のアプリは、ゲームや音楽など、利用者の趣味を対象としたサービスを提供するものが大半を占めていました。
2016年頃から、スマホはデジタルデバイスとして生活に最も身近なデバイス(図1)となり、ここ数年で、電子決済やタクシーのライドシェア、フードデリバリーなど、個人のライフスタイルとサービスをつなぐ役目を果たしています。
このように、生活に身近なデジタルデバイスと、その活用方法は大きく変化してきました。
【図1】ITへの投資額と情報通信機器の世帯保有率の推移
出所:総務省「ICTの経済分析に関する調査」と「通信利用動向調査」各年版を参考に弊社編集部が作成(※1)
さまざまな種類のアプリ
アプリとは、アプリケーションソフトウェアの略称で、元々はパソコン上で動くプログラム全般を指す言葉として使われていました。現在では、スマホやタブレット端末の普及によって範囲が広がり、モバイル機器で動くアプリケーションも含めて「アプリ」と呼ばれています。
スマホ向けのアプリは、「ネイティブアプリ」と「Webアプリ」の2種類に分けられます。
GoogleやAppleのアプリケーションストアからダウンロードして、スマホやタブレット端末にインストールするものをネイティブアプリといいます。
ネイティブアプリは、それぞれのOS専用に作られたアプリなので、プッシュ通知やカメラ撮影など、OSの機能を有効に使うことができます。また、素早く起動できるので操作がスムーズであることや、オフラインで使用できるといった特徴があります。
ネイティブアプリのメリット/デメリット
Webアプリは、その名の通りWebブラウザ上で使用されるアプリです。
ネイティブアプリのようにストアからのダウンロードを必要としないので、ブラウザにアクセスして、簡単に使うことができるというメリットがあります。
当初Webアプリとして登場したサービスであっても、その後にネイティブアプリを開発し、ユーザーの利用シーンに合わせて両方のアプリを提供することもあります。
Webアプリのメリット/デメリット
また、最近ではPayPayやLINEなどにみられる「サービスのプラットフォーム化」が進んでいます。
さまざまな機能が一つのアプリに集約されたアプリは「スーパーアプリ」と呼ばれ、ネイティブアプリやWebアプリとは分けて考える場合があります。
このように、「アプリ」にもいろいろな種類があります。ターゲットユーザーがサービスを利用するシーンを想像して、最適なアプリ開発を選ぶことが重要なポイントとなります(図2)。
【図2】ユーザーが利用するシーンを想像して、最適なアプリ開発を選ぶことが重要なポイント
アプリの開発手法
ネイティブアプリやWebアプリを作る場合、それぞれに合った言語でソースコードを書くという開発手法が一般的ですが、他にもさまざまな手法があります。
例えば、クラウド上で提供される「SaaS型(Software as a Service)」のサービスや、システムを購入して自社サーバーにインストールして使う「パッケージ型」のサービスを使うことで、ソースコードを必要としない手法もあります。
また、「ネイティブアプリはストアからダウンロードするもの」とお伝えしましたが、細かく分類すると、OSごとにそれぞれの開発言語が存在します。
iOSであれば、SwiftやObjective-C、Androidであれば、Kotlinという言語で開発されたものがネイティブアプリです。UnityやXamarin、Flutterなどを使ってソースコードを書き、複数のOSで使えるものを「クロスプラットフォーム」または「マルチプラットフォーム」と呼ぶことがあります。
このように、アプリ開発にはさまざまな手法が存在します。
先述したとおり、ターゲットユーザーとマーケットの需要に応えるためには、最適なアプリ開発の道筋を選択することが重要です。
フェンリルではアプリ開発に入る前に、お客様のご要望に合わせてヒアリングやアンケート調査なども行なっております。ご要望に合わせたプランを提案させていただきますので、気軽にお問い合わせください。
本記事の執筆者|山田 直輝
フェンリル株式会社 マーケティングセンター 営業企画部 課長代理
ITベンダーに入社し、大手企業を対象とした基幹システム向けソフトウェアの営業/コンサルティングに従事。
その後、デザイナーに転身しグラフィックデザインやウェブ広告を手がける。2018年よりフェンリルの西日本エリア営業を担当。
現在は営業企画部門の立ち上げに携わり、営業施策の企画や運用に従事している。
※1.
・「情報通信白書」総務省(2017)
・「通信利用動向調査」総務省(各年版)
・「ICTの経済分析に関する調査」総務省(2021)